高3の夏
受験生に夏休みは無い。
私たち3年生の楽しめる夏は、あと2日で終わる。そんな日に病んでしまった。
役員決めの時には、幹部になるつもりは無かったけど、全く名前も上がらないのを見て、
何かしらの役割は欲しいという一心で会計に立候補した。
クラスの財布を握っていることもあって、自分で勝手に買い出しに行き勝手に応援グッズを作った。
まずは幹部全員分のメガホン。
はじめは幹部のうちの1人(サッカー部マネキラキラ女子、モスちゃん)が喜ぶかな〜というつもりで作ったのだが、思ったよりもみんなから評価されて嬉しかった。
その後も、ビッグメガホン、クラス全員分の名前入りうちわ、GREENと書かれたスティックバルーン、旗、組全員分のタオルなどだ。
メガホンは野球部マネからのアドバイスで、大きく強度が高いものが用意できた。
うちわは先生に予約店舗まで受け取りに行ってもらったり、
私が印刷してきたLEGOのロゴマークフォントの名前を切って貼る作業をいろんな人に手伝ってもらった。
旗はまず布と棒を買いに行った。
体育祭における買い出しは、いつきちゃんが付き合ってくれていた。
2人でチャリ漕いで買い物してアイス食べk帰る、の流れを放課後に何回もやった。
裁縫班に相談して縫ってもらった旗に、書道部から文字を書いてもらった。
組全員分のタオルは、週末に本番を控えた月曜日(祝日)に頼まれ、その場でネット注文をした。
届いたのは木曜日の夜で、金曜日にハンガー類とともに段ボールを持って登校した。
ポスターカラーを溶かした水で白いタオルを染め、軽くしぼって教室に干す。
教室では乾かなかったので、昼休みを返上して(昼食を持ってきておらず、購買も無かった)陣地に干しに行った。
陣地では、leaf君と他数名の男子が看板の取り付けをしていて、学校作業員さんを待つ間に干すのを手伝ってくれた。
おかげで作業は早く終わり、快晴もあってすぐにタオルは乾いた。
その後クラスの女子が畳むのを手伝ってくれた。
その間、睡蓮花が構成から外されるなどしてタオルいらない疑惑が出て私は病んでいたのだった(冒頭に繋がる)。
いまこの文章は体育祭から1週間後に加筆している。
そして私が頑張ったのは、応援合戦における衣装製作もだ。
幹部全員ヤンキーになるということで、短ラン、ボンタン、セーラー、組頭のスペシャル法被を用意する必要があった。
うちのクラスには裁縫の鬼上手なアヤちゃんがいるので心配は無かった。
裁縫班はアヤちゃん、私、紫蘇、ペンの4人だ。
短ランは、モスちゃんの人脈で一瞬で集まり、裁縫班で1日で完成させた。
ボンタンは剣道部から袴を借りて、アヤちゃんの英智と技術、ペンの努力により完成した。
セーラーは中学時代のものを借りて、スカーフはアヤちゃんが手作りしてくれた。
組頭の法被がかなり大変で、私が家から持ってきた着物を切り、スカーフと同じ生地で裾や袖口に組の色を入れた。(アヤちゃんありがとう)
背中にはウロコを1枚1枚切って金テープでふちどりしたものを並べ、昇り龍を描いた。(みんなありがとう)
さらに絵の上手いラブちゃんとすだちで花をあしらってもらい、ようやく完成した。
今思うと、自由にお金を使えるというのはとてもクラスに貢献し(ひいては自己肯定感を高め)やすいことで、体育祭における私の働きは実際に各所で評価された。
幹部のうち、最も努力家で謙虚で私が人間として尊敬しているサッカー部下森くんは、
「組頭の頑張りの倍くらい俺はがんばってる。うりんさんは俺の5倍くらい頑張ってる。」
と言ってくれていたらしい。
その友人で隣の同じ文系クラス幹部のサッカー部イケメン、アフリカくんは、
「うちのクラスはうりんさんがいないからまとまんなかった。」
とまで言ってくれたらしい。
いずれの話も、マネのモスちゃんが聞いたもので、私はモスちゃんやすだちを通じて聞いた。
体育祭当日は、私が気まぐれで買ってきた100均の鳥を下森くんが気に入って大切にしてくれた。
守護神だと言って倒れないようにしてくれてすごく嬉しかった。
借り物の返却についても前日から段取っておき、体育祭2日目には学ランをすべて返すことができた。(クリーニング代が自腹なのは内緒だ)
競技や応援の結果は振るわなかったが、体育祭の最後には、全校で小さな恋のうたを歌い、私たちは看板賞をとることができた。
残念ながらすだちはいなかったものの、leafくんとラブちゃんが賞状・トロフィーを受け取っていた。
ゴミの処理もほとんど私と野球部マネが持ち帰り、綺麗に体育祭を終えられた。
袴のクリーニング代が高く、どうしようかと思っていたが、担任に相談したらすぐに解決した。こういうときに柔軟で頼もしい担任なのはありがたい。
以上が私の体育祭だ。
やり切った。
このあと打ち上げで各所から聞いたり体育祭後のおしゃべりで燃えたりした恋バナについては、花火大会が終わった頃に綴ろうと思う。